新時代の若き才能を発掘する、日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35 2021」でBRONZ EGGを受賞された
ホテルアナガ「Cadeau de la Mer(カドー・ドゥ・ラ・メール)」副料理長 亀井 仁さんインタビュー。

四季折々の島の食材が主役です。

ホテルアナガ Cadeau de la Mer(カドー・ドゥ・ラ・メール) 副料理長 亀井 仁さん

この島でしか出会えない一皿を。
新進気鋭のスーシェフに聞く
驚きを添えた料理へのこだわり

魚介も野菜も果物も肉も。淡路島は素材の宝庫です

淡路島の南西端に立地するホテルアナガのフランス料理レストラン「Cadeau de la Mer(カドー・ドゥ・ラ・メール)」で副料理長を務めています。島に来て4年になりますが、料理人としてこれほど恵まれた環境はないと実感しています。海と山が近いので、鮮度抜群で質の良い食材がとにかく豊富。魚介類、野菜、果物、肉…。提供する料理のほぼすべてを島の素材でまかなうことができます。
レストランでは季節ごとにコースの内容を変えますが、メニューの構成は常に素材ありきです。旬の味覚を一番おいしく召し上がっていただける料理を追求しながらコースを組み立て、一皿ごとにちょっとした驚きを楽しんでもらえるよう工夫しています。目指しているのは、淡路島でしか出会えないフランス料理。都会のレストランではなかなか手に入らない新鮮な素材を主役に、いつ来ても驚きや発見、感動のある料理を提供したいと考えています。

高いレベルの地産地消。生産者と近いからこそ

例えば、よく使う食材の一つに玉ねぎがありますが、淡路島産は他の産地のものとはまったく違います。辛みが少なく、柔らかくてみずみずしく、甘みに富んでいるのが特徴で、調理法しだいで変幻自在の味わいが堪能できます。一方で目新しい野菜の栽培に挑戦する生産者さんも多く、「こんな野菜を作ったよ」「おいしいから使ってみて」と声をかけてもらう機会にも恵まれています。野菜に限りませんが、作り手の皆さんのこうした熱意や高い技術が淡路島の食材のレベルアップに貢献していることは間違いないです。
生産者と料理人の距離が近く、顔の見える関係であることも淡路島の強みです。日々高いレベルで地産地消を実践しているので、島外から足を運んでもらっても必ず満足していただけると自負しています。

コンテストに挑戦。受賞が自信になりました

料理人としての経験を積むなか、昨年は「RED U-35」という日本最大級の若手料理人コンペティションに挑戦しました。与えられたテーマは「未来のための一皿」。淡路島はもちろん、世界的にもその減少が深刻化しているミツバチをモチーフに、「生命力」と題した作品で応募しました。
料理の右側は花が咲き、生命力があふれる山をイメージ。玉ねぎのピュレを絞ったトーストを置きました。左側は豊かな自然が育てた果物を象徴するため、白レバーのムースをフルーツに見立てています。最後にハチミツ漬けにしたハチを添えて自然と生命力を表現。未来への希望を託しました。
初めてのコンテストでしたが、入賞となる「BRONZE EGG」を受賞することができました。大きな自信になります。これもやはり島の食材があってのこと。これからも、ここでしか作ることができないフランス料理を極めていきたいと思います。

(2022年1月11日 インタビュー)

高校卒業後に進学した調理学校で和洋中すべての料理を学んだ亀井仁さん。ソース作りから素材の調理まで一つひとつていねいに構築していくフランス料理の奥深さと華やかさに魅了され、この道に進んだという。大阪の人気フレンチレストラン「ル・クロ」を皮切りに、丹波やフランス・パリの系列店で腕を磨き、2017年に「Cadeau de la Mer」へ。現在は副料理長(スーシェフ)として厨房に立ち、陣頭指揮を執る。

若き才能の発掘を目的に「ぐるなび」などが主催する日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35 2021」で「BRONZE EGG」を受賞した作品。料理名の「生命力」には食と自然の未来への思いを込めた。

ある日のメニュー「特選淡路ビーフのグリル」。素材の持ち味を最大限に生かしながら、一皿ごとに洗練された美しさを追求するのが「Cadeau de la Mer」の料理。ゆったりと流れる時間のなか、目で舌で存分にその美味を味わいたい。